みんな大好きなお金ですが、実はあの世、死後の世界でも使われていることをご存じでしょうか。
お葬式に出席した時に、死者にお金を持たせることに驚かれた方もいるのではないでしょうか。
今回は、死者に持たせるお金について書いてみました。
死後も使われるお金
この前出席したお葬式で、棺桶に10円玉を入れている人がいたよ。
三途の川のわたり賃とか言っていたけど、いったいどうゆうことなんだ?
日本には三途の川を渡る時には、奪衣婆(だつえば)という老婆がいて、
この人に渡し賃をあげないと、着ぐるみを剝がされて、
泣く泣く川をわたらないといけなくなる、とされている
すっぽんぽん!
死んでからもオワタ
ちゃんとあの世に行けるように、お金を棺に入れて火葬しているわけだ。
ちなみに、「釣りバカ日誌20ファイナル」に西田敏行が奪衣婆になってユーモラスに描かれている
日本では、この世とあの世を分かつ境界として、三途の川をわたるという考え方があります。
この三途の川ですが、無条件に渡れるわけではありません。
場合によっては、先に死んでいった先祖に、「まだこちらに来るのは早い」などと言われて追い返されてしまう、という話も多くあります。
いざ、川を渡れることになっても、そこには川の番人の奪衣婆がいます。
この奪衣婆に渡し賃を支払って、ようやく川をわたることができるわけです。
ちなみに、渡し賃がないと、着ぐるみを剥がされて、裸で渡らなければいけないということになるそうです。
この渡し賃のことを六文銭(ろくもんせん)といって、昔は一文銅貨6枚を、頭陀袋の中に入れて死者の首から下げて火葬や土葬していました。
あの世に行ってまで破廉恥な姿をさらさないといけないなんて最悪だよ
現金を焼いてしまってもいいの?
オイラが出席した葬式では、現金の10円玉を何枚か入れたけど、
お金って市場に出回っているものだから、勝手になくしてしまったらダメなんじゃないか?
厳密にはそうだ。
日本では、お金を「故意に」破壊する行為は
「貨幣損傷等取締法」で禁止されていて、1年以下の懲役か20万円以下の罰金が科される。
ちなみに、硬貨のお金は日本国が発行している「貨幣」、紙のお金は日本銀行が発行している「紙幣」だ。
この法律では、硬貨のお金が該当する。実は、紙幣は燃やしても罰せられない。
じゃ、じゃあ、オイラも硬貨の10円玉を棺に入れてしまったから豚箱に入れられるの?
あーおしまいだー。20万円もこの前FXでぶっ飛ばしたし。オワタ
通常なら、お前は豚箱入りだな。
しかしまあ安心しろ。死者にお金を持たせる考え方は日本人の思想であり、古来からの風習であり、さらに信仰・宗教だ。
国の最高法規であり、法律よりも上位にあたる日本国憲法では信教の自由が認められている。
自分の宗教上、どうしてもお金を燃やさなければいけなかったということになるので、
「憲法」よりも下位にあたる「法律」では、憲法に明記されている範囲に該当する事象であっても裁かれないというわけだ。
火葬の際に死者にお金を持たせる風習は古い時代から続けられていました。
ただ、昔からも作り物のお金を首から下げた頭陀袋の中に入れて火葬や土葬をした地域も多くあります。
最近ではこれにならい、葬儀社でも紙に一文銭の絵柄を6つ印刷して、頭陀袋に入れて棺に納めることが多くなってきました。
実際問題 火葬場が困る
焼きあがった後、10円玉は「お守りです」といって渡されたけど、
中には完全に燃えてしまったものもあったね
現在の火葬場で使用されている火葬炉は機械で温度管理をしていて、約1時間から2時間程度で焼きあがる。
人の体は焼けやすい場所とそうでない場所があるので、
10円玉のおかれた場所によっては完全に溶けてしまうこともある
骨も、場所によっては無くなったりしていたなぁ
骨に守られている部分の内臓をたった1時間程度で燃やしつくさないといけないから、場所によっては骨まで溶けてなくなるくらいにしないといけない。
頭蓋骨も、その中に脳みそやら目玉やらがあるわけだからな。
ちょっとグロイ話だね。でも確かに、相当な火力だろうね。
普段焼き肉をしても、1時間くらいじゃ肉が焼けてなくなるなんてことないし
ちなみに、骨に色がついていることがあるだろ。
火葬場の職員や葬儀社の職員は、
棺に入れたお花の色がついたんですね、きれいですね、などと言うこともあるが、
実際あれは火葬の時に棺をとめている釘や、さっきの10円玉などの金属が溶けて骨にくっついたときの化学反応が原因だ
そういえば、昔学校で習ったけど、熱せられて気体や液体になっても、結局温度が下がると
個体になるんだよね
お前にしてはまっとうなことを言うから驚いたぞ。
実は火葬場にとって、金属を入れられることは迷惑なことなんだ
火葬した際には、亡くなった人が生前使っていたものを棺に入れたくなるものです。
しかし、火葬時に入れることのできる金属製品は眼鏡一つまで、などとされていることも多くあります。
これには、ダイオキシンなどの有害物質が出ること、そして火葬炉を傷めてしまう、という理由があります。
金属は高温で熱せられると、液体や気体になります。それが火葬炉の排気口など様々な場所に付着して、火葬終了後個体に戻ってしまいます。
その結果、火葬炉に不具合を生じてしまう原因となるのです。
こうしたこびりついた金属は、専門の業者や火葬場の職員によって清掃されたり、メンテナンスされたりしています。
死者を弔う気持ちも大切ですが、使用する機械のことも考えなくてはなりません。
大都市の火葬場は完全機械管理が増えてきた。
しかし、小さな市町村では、いまだに火葬場職員が時折焼いている様子を見て、
焼けてこない部分をひっくり返す、ということをやっている
なかなか大変そうだね。
こうしたインフラ整備をするためにも、
ちゃんと税金は納めるんだぞ
おまけ 火葬後の体内の金属はどうなるの?
最近ゴールドの値段が爆上げしてきたね。うっかり売りで入ってしまって爆損だったよ。
死んだ人の歯にも金が使われていることがあるよね。
火葬の時に回収できればいいけど、取り残されたものはどうなるの。
そのままにしたらもったいないよ。
火葬した後には骨を拾うが、どうしても残ってしまうものだ。
骨に交じって、手術をした人などの体からは金属が出てくることもある。
想い出といって拾っていく人もいるが、
そのまま見落とされて残されることもある。
その場合は、骨と金属とを分けて、
金属はリサイクルされている
火葬して、遺族が収骨を終わらせた後も、細かな骨が残ります。特に近畿圏を中心に両墓制(りょうぼせい)という風習があり、骨をそれほど重要視していないことから、多くの残骨が発生します。
ちなみに、両墓制とは、一つの集落に魂だけを納めるお墓と、遺体を埋葬する墓地の二つが存在することです。遺体は汚れているものという考えがあり、遺体は村はずれの墓地(これを「サンマイ」などと言っています)に埋葬し、普段お参りする魂だけを納めたお墓を集落の中に立てるという文化です。
近畿圏は、特に遺体や遺骨に対して思い入れをもってこなかった地域も多くあります。このため、火葬した骨も、たくさん拾わずに、ある程度火葬場に残される場合があります。骨を残す量がおおくなればなるほど、一緒に入っていた金属も残される可能性が高くなります。
残された残骨は市町村が運営する火葬場が回収し、専門業者が産業廃棄物として引き取って処分します。
残された金属の方もまた、専門業者が回収し、処分されたり、有用なものはリサイクルされます。
まとめ
・火葬の時に硬貨を焼いても罰せられない
・金属を焼くのは、火葬場が困る
・火葬後の金属はリサイクルされる
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